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40代メーカー勤務。留学・英会話スクールに通わずに英検1級合格。英語勉強法のノウハウを説明。

書評:早すぎた男 南部洋一郎物語 時代は彼に追いついたか 中嶋 彰 著

BlueBacksより2021年10月刊

自発的対称性の破れ」というテーマについて研究し、2008年にノーベル物理学賞を授賞した南部先生の人生を振り返った著書。幼少期から東大生時代、戦中戦後を経て、アメリカ時代へと続く、南部先生の人生を紐解きながら、その時々の素粒子物理学の理論の説明が加えられ、難しくはあるが、非常に興味深く読める書物でした。

 

 

自発的対称性の破れというものが、正直よくわからなかったのですが、今も理解はできていないものの、なんとなくのイメージというものを、下記の例からわかることができました。

”パーティーをするべく、3人の友人を自宅に招いたあなた。丸テーブルに座り、それぞれの席の前にグラスが1つ。しかしながら、そのグラスの位置が微妙な位置においてあり、両隣の人のものなのか、自分のものなのか、わからない位置においてある。きまずい不安定な雰囲気がながれたが、そのうち1人が意を決して右前のグラスをつかむと、ほかの3人も一斉に右前のグラスをつかんで、乾杯になった...。これが自発的対称性のやぶれ。”

このように地球や宇宙に存在するさまざまな対称性は安定を求めて、「自発的に対称性を崩す」ことがある。これが自発的対称性の破れ。まさに言いえて妙だが、言われるまで気づかない。

それにしても思うのは、アメリカという国の懐の広さだと思う。60-70年代の時期に、彼ら南部先生たちはアメリカで仕事をしていくが、戦後とはいえ、敵国であった日本の人間を大学に呼び寄せ、研究させて、チャンスをあたえるというのは、逆だったらと考えるととてもできない。”本人の能力のありなしと日本人であるかないかは関係ない”ということだと思うが、そいう判断ができるアメリカ人はすごいと思う。(もちろん全員がというわけではないでしょうが)。